Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
江口は全部平らげそうになっていたピザを、気が付いたようにみのりの皿へと載せた。みのりはそれを受け取り、口に運ぶ。
「狩野には、2年生の時にはセンターをさせてて、たまにゲームにも出してたんだが、3年になってスタンドにしたんだよ。でも、俺のその采配は間違ってなかっただろ?あいつが攻撃の起点になって、展開ラグビーの見事なチームになった。…と言っても、それを確信したのは、秋季大会くらいからかなぁ。あの頃から、人が変わったみたいに練習への取り組み方も変わって、どんどん上手くなっていったね。花園予選まで、あんな短期間であれだけ成長できるのって、ある意味驚きだったけど。おかげで、チームの雰囲気もいい方に変わったし。キャプテンは二俣だが、あいつといつも一緒にいて、うまく御してるのは、実は狩野なんだよな。」
そんな江口の話を聞いて、みのりは本当に嬉しくなった。
遼太郎の周りにいる人が、きちんと彼のいいところを評価してくれている。それはみのりにとって、自分のことを褒められるよりも、ずっと嬉しいことだった。
『生活全体が充実しているから、全然きつくない。』
部活と勉強と大変な毎日を送っていたときに、遼太郎がそう言っていたのを思い出した。
あの時、勉強においても著しい成長を見せていた遼太郎は、同時にラグビーでも同じように成長していたのだ。