Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「さあ、始めましょうか。すっかり暗くなっちゃったね。」


と、みのりが電燈を点けようと、2、3歩その場から歩いた時、遼太郎に腕を引っ張られた。


「ん?何?どうしたの?」


 振り返って首をかしげた瞬間、みのりは遼太郎の懐に抱きしめられた。


 状況を把握するのに、みのりは丸くした目を瞬かせた。
 目の前には学生服の逞しい肩があり、後ろ頭に回された遼太郎の手によって、みのりの顔は肩に押し付けられる。

 愛しい人に抱きしめられる喜びを感じなくはないが、訳の解らないみのりは、とにかく一旦離れようと、遼太郎の胸に手を突いた。

 すると、すぐに遼太郎の顔が迫り、


「あっ…!」


と思った時には、唇が唇によって塞がれていた。

 驚きの追い討ちに、みのりは思わず身を引いた。
 唇が離れると、遼太郎は追うように再び唇を重ねてくる。
 その勢いにみのりがよろけると、遼太郎はさらに押して、とうとう黒板脇の壁にみのりの体は押し付けられてしまった。


 辛うじて表情の判る薄明かりの中、みのりは遼太郎を見上げ、遼太郎に見つめられた。

 遼太郎が首をかしげ顔を寄せてくると、今度は自分の意志でその先の行為を待った。

 唇が触れ合うと、思わずみのりは唇を開き、遼太郎に応えてしまう。その動きを見逃さず、遼太郎はキスを深める。


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