Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「テーマをもっと細分化して考えるといいかも。環境と言っても、色んな側面があるでしょう?例えば、『リサイクル』とか。『ゴミ問題』とか。『河川の氾濫』とか。それに、時代も限定的でもいいのよ。江戸時代だけとか。」


 もっと早くアドバイスしてあげたら良かったと、みのりは思った。

 遼太郎がこのテーマに苦しんでいることには気づいていたが、会話することさえ拒否されるのでは…と、怖さが先に立っていた。


 「ああ、そうか…。」と、遼太郎が頷く仕草も、以前のような緊張感はない。


「試しに、『江戸時代 リサイクル』とか、『平安京 ゴミ』とかで検索してみて。」


 みのりがそう言ったので、早速遼太郎は言われた通りにする。


「あっ、出てきた…!」


 遼太郎が目を丸くして、もう一度見上げると、みのりはにっこりと嬉しそうに笑った。

 久々のその刺激に、遼太郎の心臓が早鐘を打ち始める。


「とにかく、使えそうなものは、全部印刷しておいてね。」


と言いながら、みのりは他の困っている風の生徒の元へと足早に歩いて行った。


 また、明くる日は、高校のすぐ近くの市立図書館まで行くことにした。


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