Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 一方の遼太郎の方は、みのりの寂しそうな涙を見て、レポートどころではなくなり、何も手につかなくなってしまった。
 みのりの涙は、遼太郎の心を切なく侵し、動揺させた。

 みのりには泣いてほしくない。でも、自分を含め3年生が卒業していくことは、どうしようもないことだ。
 泣くことが避けられないことならば、遼太郎はせめてその涙を、自分が受け止めてあげたいと思った。


 それに、改めて卒業までに時間がないことに、みのりの言葉によって気づかされた。このままぐずぐずしていたら、自分は卒業してしまい、本当にみのりには会えなくなる。


 いつの間にか、みのりに気持ちが通じていて、みのりの方から告白してくれるなんて、……絶対にありえない。

 現状を進展させるためには、教師と生徒という一線を越えるためには、自分から行動しなければ。そうしなければ、自分はただの生徒の一人として、みのりから送り出されて、みのりとの関係も終わってしまう。


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