Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「…バカ野郎!」
ようやく言葉を絞り出すと、遼太郎はスポーツバッグを担ぎ直して、二俣よりも足早に、第2グラウンドへと急いだ。
二俣にはそう言ってからかわれたけれども、早くどうにかしないと、もう本当に時間がない。
遼太郎が卒業しても、みのりは来年も芳野高校にいるから、告白すること自体は別に卒業までに限らなくてもいいんじゃないかと、遼太郎はつい自分に甘くなり、決断を先送りにしようかとも考えた。
けれども、すぐさまその思いを打ち消した。
自分が大学へ行って離れている間に、みのりが結婚してしまう恐れがある。
やはり卒業までに想いを伝えて、みのりが今すぐにそれに応えてくれないにしても、4年間待っててくれるように懇願しておかなければならない。
それが出来なければ、みのりと一生一緒にいることは、はかない夢のままで終わってしまうだろう…。
遼太郎はそう思いながら、覚悟を決めた。