Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
27 最後の授業
遼太郎の焦る気持ちとは裏腹に、月日は飛ぶように過ぎてゆき、あっという間に2月に入り、いよいよ仮卒を迎えようとしていた。
遼太郎は何とかして、みのりに告白しようと思ってはいるが、なかなかその機会に恵まれずにいた。
今年のセンター試験は日程が遅く、それが終わるまでみのりも個別指導に追われ、一人になってくれる時間はほとんどなかった。
人気のない所へ呼び出すこともできたのかも知れないが、忙しいみのりに敢えて時間を割いてもらうのも気が引けた。
けれども、部活に行く途中、寒い犬走にたたずんで小雪がちらつくのを眺めるみのりを、見かけたこともある。
今思うと絶好のチャンスだったのだろうが、不意のことで心の準備が整ってなく、何と言って切り出したらいいのかも分からなかった。
それに、学校にいる日常のみのりを、もう見られることもなくなるという感傷と、みのりのあまりにも儚げな美しさに心が震え、遠くからただ見つめることしかできなかった。
仮卒をする前日には、予餞会が行われた。
体育大会のときの団がここでも機能して、団ごとにステージでの発表があり、卒業生へのはなむけとする。
と言っても、午後の授業が当てられるだけなので、文化祭ほど大がかりではない。