Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



――とうとう最後の授業の日がやって来てしまった……。


 みのりはそう思いながら心に重い現実を抱え、3年1組への廊下を歩き、教室へと赴いた。

 教室へ入ると、このクラス特有の明るく和やかな雰囲気は、いつもと変わらない。みのりはホッと緊張を解き、いつもと同じように授業を始めた。


「さて、卒業レポートは今日清書をして提出して下さいね。今日出せないと、仮卒しても登校させるから、覚悟してね。」


と、みのりはまだ終わっていない生徒へ笑顔を向けながら、ハッパをかけた。
 生徒たちは、肩をすくめて、早速作業に取りかかる。


「もう終わってる人は、自由にしててもいいけど、作業してる人の邪魔にならないようにしてね。提出してもらったレポートは、一応文集のかたちにして、卒業式の日に、みんなに配ろうと思うので、楽しみにしててね。」


と言っても、生徒たちは特段嬉しくもないのだろう。無反応だった。


 それでは、これならどうだ!と、みのりは奥の手の物を取り出した。


「今日は最後の授業なので、皆に心ばかりの物だけど、渡したい物があって…。」


 みのりがそう言った瞬間、教室中のざわめきがピタッと止まる。


「少し早いけど、バレンタインということで、チョコクッキーを作ってきました~!」


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