Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「これで、遼ちゃん。みのりちゃんに告る時には、ただ『好きだ』って言っても、抱きしめても、本気にしてくれなくなったぜ。それこそ、チューでもしないと。」
みのりが行ってしまった余韻を、切なく噛み締めていた遼太郎に、二俣が声をかけた。
恨み言はいろいろあるが、どれも言葉にならずに、苦虫を噛み潰したような顔で、遼太郎は二俣を睨んだ。
自分のことを応援してくれてるのか、それとも、みのりのことが本当に好きなのか、二俣の真意が遼太郎にはよく解らなかった。
「このまま、みのりちゃんに何も言わずに、卒業するつもりかよ?」
遼太郎が口を開かないので、二俣は遼太郎を覗き込んだ。
「…先生には、ちゃんと言うつもりだよ。」
遼太郎がポツリとつぶやくと、二俣のギョロリとした目が、らんらんと輝いた。
「えっ?マジか?遼ちゃん!いつ?どこで?どんなふうに?」
矢継ぎ早の質問をされても、遼太郎は二俣をジロリと一瞥するだけで、答えなかった。しかし、そんな無下な扱いなどに、二俣はめげない。
「やっぱり、チューする?それとも、押し倒す?なあ?遼ちゃん!」
しつこく食い下がってくる二俣に、遼太郎はキッと振り返った。
「するわけないだろ?バカ野郎!!」
そう言い放つと、大股で教室を出ていった。