Rhapsody in Love 〜約束の場所〜


 放課後になり、とうとう決意の時が来た!
 卒業レポートとコピーしてもらう写真の資料を携えて、遼太郎は職員室へと赴いた。


 職員室は相変わらず雑然としていたが、センター試験が終わり仮卒を迎えた3年部は、いつもよりも心なしか緩い空気に包まれている。その3年部を突っ切り、1年部へ。

 みのりの席の周りには、1年生の女子生徒がたむろしていた。日本史の資料集を見ながら、歓談している。

 邪魔しては悪いと思い、遼太郎は離れた所から、そっとその楽しそうな光景を見守った。その視線を感じ取ったのか、みのりが遼太郎がそこに居ることに気が付く。


「ああ、狩野くん。来てたの?気が付かなくて、ごめんね。」


と、声をかけてくれたが、みのりの側にはまだ女子生徒が4人ほどいたので、遼太郎は会釈をしただけで、その場を動かなかった。


「さあ、雑談はおしまいよ。また明日ね。」


 今度は女子生徒へと声をかける。女子生徒たちは「さよなら」と言い、遼太郎をチラリと窺いながら、みのりの側を譲ってくれた。


「コピーするのは、どの写真?」


 みのりは遼太郎から資料を受け取って、尋ねる。


「この写真と、この写真です。…あの、先生。先生に話したいことがあるんですけど…。」


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