Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
28 間の悪い男
『告白しよう』という決意があっけなく反故にされて、遼太郎は最高潮に高い圧がかけられた緊張からは解かれた。
しかし、まだ何も事を起こしてはいないのに、なんだか抜け殻のようになってしまった。
『来週学校に行って話をする』という約束をみのりとしたけれど、もう週も終わろうというのに、遼太郎はまだ登校出来ていなかった。
というのも、次の週の月曜日から自動車学校へ行くことにしていたのを、すっかり忘れていたのだ。
仮卒した途端、日中はずっと、自動車学校に詰めて教習を受ける毎日が始まってしまった。3月の終わりに東京へ発つまでに、何としても免許を取ってしまいたいと思っていたので、どうしてもこちらを優先させてしまっていた。
それに加え、きっかけを失い、勇気も挫かれて、遼太郎には再び動き出すエネルギーがまだ充填されていなかった。
毎日学校へ行っていたときには、みのりの姿を見たり、みのりから微笑まれるだけで、そのエネルギーがすぐに満タンになっていたのに…。
気は焦るのに体は動かず、時間だけが過ぎてしまっていた。そんな不甲斐ない自分がほとほと嫌になり、遼太郎は大きな溜息を吐いた。