Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
――……ダメだ…!通じてない……。
必死の思いでやっと絞り出した言葉。でも、その真意がみのりの心に響いていないことに、遼太郎は焦った。
こうなってしまった場合には、言葉を尽くして解ってもらおうと思っていたけれども、何を言えばいいのかも分からない。
何かを言おうにも、言葉はのどに張り付いていて出てこない。
ずっとこうしているのは不自然だと分かっているから、焦りもいっそう募った。
言葉をなくした遼太郎は、意を決して、握っていたみのりの手を引っ張った。
勢いでみのりが一歩踏み出し、驚きの色合いを濃くして顔を上げた瞬間、唇に何かが触れた。
一瞬触れるだけではなく、意思を持って重ねられた遼太郎の唇――。
キスされていることに気が付いて、みのりは目を見張って硬直する。
自分の身に起こっていることが、とても現実とは思えず、また夢を見ているのだと思った。
自分の願いが現れた、虫がいい夢を。
そっと唇を離した遼太郎が、すぐそばにある見開かれたみのりの目を見つめた。
「……好きです。」
のどに張り付いていた言葉は、少しかすれて、みのりの耳へと届けられた。