Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
商店街の中には、浴衣の貸し出しと着付けをしてくれるところもあるので、そこで浴衣を着せてもらって夜の街をそぞろ歩く。
本当は彼氏と一緒に…とは思うものの、お互い独り身なので女同士で楽しむのだ。
澄子にその提案をしに、職員室の澄子の元へと向かっていた時、生活指導主任から呼び止められた。
「仲松さん、祇園祭の日は暇かい?頼みたいことがあるんだけど。」
何となく何を頼まれるのか察しがついて、みのりは無視して通り過ぎたい衝動に駆られた。
「生活指導部の陣内先生が、部活の遠征で祇園祭の日にいないんだよ。代わりに祇園祭の補導に出てくれないかね?」
――……やっぱり……。
と、みのりは心の中で呟く。
「いやいや、私は陣内先生の代わりなんてとても務まりませんし、補導なんてそんなお仕事は、か弱い私には…」
と、みのりはやんわり断ってその場を逃れようとしたのだが、
「誰が、か弱いって?大丈夫、仲松さん。あんたなら!」
指導主任はみのりの両肩を叩き、説得攻勢に出る。
「他の生活指導部の先生たちは全員順番に補導に出るし、他の分掌で頼める人はあんたしかいないんだよ。」