Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 担当の場所を割り振られて、19時から21時の2時間かけて巡回する。


――もし恐喝の場面なんかに遭遇したらどうしよう…。


 みのりは重い気分で腕章を受け取った。

 しかも、組む相手はイケメン教師の古庄なので、一緒にいるのを生徒に目撃されようものなら、後で何を言われるかわからない…。


 担当場所の若宮町に着いた時はまだ明るかったが、次第に宵闇が濃くなり、山鉾がきらびやか耀くようになった。

 案の定すごい人出で、ムッとするほどの7月の熱気がまとわりつく。

 みのりは古庄と共に、人混みの中には入らず、家並みの角に立って人が行き交うのを見ていた。
 時おり、浴衣姿の女子生徒や私服姿の男子生徒たちが通り過ぎて行くのが目に付く。中には、みのりに気がついて手を振る子もいた。


 「若宮町」と札を付けた山鉾がすぐ側を通り過ぎていくのを見守ってると、その牽き手の一人が二俣だということに、みのりは気がついた。
 掛け声を出しながら牽くその真剣な表情に、県大会の時のラグビーの試合を思い出す。



 
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