Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
その感嘆を称賛にして遼太郎が思わず口にしたとき、
「教員の採用試験はもっと難しいのよ。論述問題だと、総合的に色んな知識を駆使しなきゃいけないからね。それに、私はこれのプロなんだもの。出来なきゃ教える資格もないでしょ。」
みのりは当然のことのように言った。
「先生になるための試験は、もっと難しい?」
遼太郎は、これよりもっと難しい問題があるのかと、驚いた。
「当り前よー。こんな問題解けるようになる生徒を育てられる人の試験だもの。だけど、難しければ難しいほど、問題を解く時に楽しくなるでしょ?」
――いいや、全然楽しくなんてならないけど……。
と、心の中で反論したが、遼太郎は口には出さなかった。
「学問の世界は奥深いのよ。難しい事でもなぜだろう、どうしてだろう、って考えて結論を出すという過程を何度もたどってると、自然に知識は身に付いてるものじゃないかな。」
話題自体が難しくなってしまって、遼太郎は言葉を返せなくなる。
……でも、このまま勉強を続けていけば、みのりと対等に話せるようになるのだろうか。そのためだったら、遼太郎はもう少し頑張れそうに思えた。