Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「どの大学の指定を受けようか迷ってるの?」
「いや、大学は大体決めてます。」
「なんだ、決めてるんじゃないの。どこの大学?」
「…あの、法南大学がいいかな…と。」
「おお!法南大学。優秀な大学よね。法南大学って環境学部が有名だけど、狩野くん、もしかしてそういう方面に興味があるの?」
みのりは遼太郎の未来の可能性を想像して、とても楽しそうに身を乗り出した。
しかし、当の遼太郎は渋い顔をしている。
「どうしたの?環境学部、問題ある……?」
頬杖をついて、みのりは遼太郎を覗き込んだ。
「いや、そうじゃなくて。校内選考の頃から推薦入試の頃って、花園の予選で大変な時だし、入試にだけ集中できないから、俺には無理かなぁ…って。」
遼太郎は身を引いて、消極的な気色が漂う表情をみのりから見られないようにした。
しかし、みのりは逃れさせてくれなかった。その瞬間、目の前にあるみのりの眼差しが、いつもの柔らかいものから鋭いものに豹変した。
「狩野くん、ダメだよ。そんなこと言ってると、絶対後悔する。やってみてもないのに『無理かも』なんて、スポーツする人とは思えないな。指定校推薦の指名も、花園出場も、どっちも手に入れるチャンスはまだあるんだよ。……だったら、両方手に入れるの。」