Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
5 それぞれの夏休み
甲子園の予選も終わり、あっけなく二回戦で散ってしまった野球部の3年生部員たちも、涙の引退となった。
この甲子園の予選に、澄子は灼熱の球場へ応援に行った。
みのりも野球部の遠藤にせがまれて、3回戦には応援に行くつもりだったが、結局、男性教師のたむろする休憩室のテレビの前で、固唾を飲んで見守るだけで終わってしまった。
次の日の補習に、抜け殻のような、それでいて何かから解放されたような表情をした遠藤がいた。
――燃え尽きたんだなぁ……。
みのりは改めてそこまで夢中になれることのある彼を、うらやましいとさえ思った。
これで、現役として部活で頑張る3年生は、ラグビー部員だけになってしまった。
夏休みの前半にある前期補習が終わると、吉田高校の教師たちは少しだけホッとできる。
しかし、夏休みだからと言って、教員も家で休めるわけではなく、授業はなくても通常通り出勤はする。
それでも授業がないので、普段溜めている仕事や雑用、教材研究などに専念でき、部活指導にも力が注げる。