Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
答案を開いて、添削に取り掛かろうとしていたみのりが、顔を上げた。
「あら、そう。6日間もどこで合宿するの?」
「……あの、菅平です。」
遼太郎の声色に、少し恐怖がにじんでいる。
「菅平って、長野県の?ああ、ラグビー合宿の聖地みたいなところよね?全国の強豪も合宿に来てるでしょうから、バンバン練習試合ができるね。」
「…はい、毎日試合です。それも、何試合も。試合の合間も延々と練習があって。早朝練習に、長距離ランニングなんかもあります…。」
気が遠くなりそうな遼太郎の表情は、合宿がどれほど過酷なのかを物語っていた。
「地獄の6日間というわけね。」
遼太郎は目を閉じ、無言で頷く。
「まあでも、秋の花園予選に向けて、本当に大事な合宿だよね。いろんなことを吸収して成長できるチャンスだから。強くなるためには、貪欲にならなきゃね。そう思えば、きついことも『どんと来い!』だよね!」
と、肉体的にきついこととは無縁そうなみのりは、親指を立ててサラッと言ってのけた。
無責任なみのりの励ましに、遼太郎は苦笑いをして、もう一度頷くしかなかった。