Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「じゃあ、さすがに添削指導もお休みね。合宿、頑張ってきてね。」


 みのりは微笑んで言葉をかけると、また目を答案に移した。


 遼太郎は、何だか物足りなさを感じたが、会話が続かないので出入口へと向かった。
 出入口で振り向くと、大きな事典のページをめくって、何かを書き留めているみのりが見えた。

 あの真剣な視線の先には、自分の答案がある……。それが確認できると、遼太郎は安心して階段を降り、第2グラウンドへ向かった。



 夕方からの練習前に休憩になったので、遼太郎は答案を取りに、もう一度職員室へ赴いた。
 休みをとっている教員も多いらしく、職員室は人気が少ない。

 みのりの机も主は居らず、寂しい空気が漂っている。机の上に置いてあるはずの添削済みの答案を、遼太郎は探した。

 すると、答案の上にはメロンパンが置かれ、メロンパンの下には、手紙が挟んであった。





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