Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
『狩野くんへ 暑い中の部活、お疲れ様です。夕方の練習前に答案を取りに来るんじゃないかと思い、メロンパンを置いておきます。お腹の足しにして下さい。(アイスの方がよかったとは思うんだけど、融けちゃうからね…)
明日からの合宿も、暑いので体調に気を付けて下さいね。
狩野くんは、少々頑張り過ぎのようなので、合宿後はちょっと添削指導をお休みしましょう。他教科の勉強やこれまでの演習の復習をして下さい。
また、後期の補習では朝の個別指導をするので、早く登校してね!
それでは、充実した良い夏休みを!! 仲松 』
この手紙を読んで、遼太郎はホッとするより、がっかりする気持ちの方が強かった。
後期の補習が始まるまでに、まだ十日もある……。
メロンパンと答案を持ち職員室を出て、「はぁ…」とため息を吐く。
階段を降りながら、もう一度みのりの手紙を読み返してみると、文字と文面から、みのりの細やかさと温かい息吹が感じられた。答案には、どのくらいの時間がかかったのだろうか、赤ペンでびっしりと解説が書き込まれていた。
それに、このメロンパン。
――俺、先生にちょっと甘えすぎかも……。
遼太郎は靴を履き、出入口の階段に腰かけてメロンパンの袋を開け、それをあっという間に平らげた後、再び第2グラウンドへと走った。