Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「お父さん、お母さんがスイカ切ったって言ってるよ。」
戸口から声をかけると、隆生は目を開けた。
「みのりか?」
「うん、ただいま。」
みのりは短くそう言うと、居間へと戻って、やっとスイカにありついた。
スイカを食べている最中、
「そうそう…」
と、喜美代は食べる手を休め、手を拭きながらいそいそと奥の部屋へと行き、紙袋を下げて戻ってきた。
口にかかる種を出しながら、みのりが目にしたものは、お見合い写真。それも、5人分。
「どうしたの!?これ!」
「どうしたのって、いろんな人に頼んで、お嫁さんを探している人を紹介してもらったのよ。」
「ええぇ~……」
みのりは眉間に皺を寄せて、あからさまに嫌な顔をした。
「見てみないのに、そんなに嫌がりなさんな。」
と、喜美代は立派な台紙に入ったお見合い写真を開いて見せた。
「いろんな人に…って、誰に頼んだの?」
「うーん、お檀家さんやら、区長さんやら…あとは、保険の外交員さんやら……」
これを聞いて、みのりは愕然として天を仰いだ。
「信じられない!そんなたくさんの人に言って回ってるなんて…!」