Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
これで見合いを拒否した日には、その人たちに何を言われるか分かったものではない。『お寺の娘は、歳も考えずに高望みだ』とか。
「お相手にも私の写真を渡してるの?」
「そうよ。」
喜美代は澄まして、お見合い写真を見比べている。
「何の、いつの写真?」
「あなたが大学院を修了した時の、晴れ着姿の写真よ。」
「6年も前の写真じゃない。」
実際は三十歳なのに、あんな写真を渡したら詐欺になりそうだ。
「そう、もう6年前。あなたは三十歳になったのよ。それでなくても、高学歴の女は敬遠されるのよ。それに歳まで取ってしまったら、それこそ貰い手がいなくなるわ。」
深いため息を吐いて、みのりが視線を逸らす。
みのりがいい返事をしないものだから、喜美代の説教は止まらなくなった。
「これから相手を探して結婚するといっても、最低でも1年くらいはかかるでしょ。それから子どもを産むのは、早くてもその1年後になるのよ。子どもを産むなら、早く産んでおかなきゃ。子育てがきつくなるわよ。」
喜美代が言うことも、一理あった。のんびりしていると、結婚しても子どもを持つことは出来なくなるかもしれない。