欲しがりな彼。
パーカー
「夏さん。このパーカーちょうだい?」
「え?何で?」
ハルが持っているのは私のあまり着なくなった黒いパーカー。
しかもどこから持ってきたの、そんなもの。
「欲しい、ダメ?」
「うーん…。」
使わないから良いんだけど。
でも、何に使うのかな。
着るのかな?
まあ、ハルに入らなくはなさそうだし。
ショックだけど。
「夏さん、お願い。」
「うぅ…。」
そんな可愛い顔でお願いされると…。
でも、自分のお下がりを彼氏が着るってどうなのよ。
「このパーカー何に使うの?」
「えっ…それは…。」
ギクリという効果音がピッタリな表情をしたハル。
これはマジで着るってことかな。
「夏さん。…引かない?何言っても。」
「うん。大丈夫だよ。」
「俺、夏さんのにおい嗅いでると落ち着くの。」
「は!?」
何突拍子もないことを言い出すの。
それに、ちょっと照れるじゃないか。
「だから、夏さんと会えないとき、このパーカーと寝ようかなって。」
「え…。」
今までの彼氏に言われたら、キモイと思っただろうけど、ハルなら何か許せちゃう。
「夏さん、最近忙しくてあんまり会ってくれないから…。」
「えっと…。いいよ!あげる!」
「やったー!」
抱きついてくるハルを受け止めながら、やっぱり私はハルに弱いなっと反省。
*パーカー*
「キモイよね、俺。」
「うん。本当そう思う。」
「うぅ…ごめんね、夏さん。」
「でも、ハルならいいよ。」