地上182センチメートルを、キミと。
倒れてから、小春はダイエットを辞めた。
今日は、小春・大志・オレの3人で視聴覚室ランチ。
小春は、小さい1段弁当から元の2段弁当に戻した。
でも、ダイエットで胃が小さくなってしまったのか、完食出来ないでいる小春。
そんな小春と目が合った。
「・・・・・・・あ、違うよ!! ダイエットはもうちゃんと辞めたよ。 食欲ないわけでもなくて・・・・・・。 別にお腹の調子が悪いわけでもないんだけど・・・・・・。 巨人のくせに、何小食ぶってるんだろうね、ワタシ」
小春は一生懸命言い訳をしながら、箸で挟んだ小さな小さなゴハンの塊を、強引に口に運んだ。
ちゃんと分かってる。 大志ほど小春を理解出来てないけど、オレだってそれくらい分かってる。
「無理して食う事ないから。 徐々に除々に戻せばいいよ」
なんとか口に入れたゴハンを飲み込んだ小春の指から箸を抜き取ると、それをケースに入れて片してやった。
「・・・・・・・・・・うん」
申し訳なさそうに返事をする小春。
「・・・・・・・じゃあ、大きくなる為に残った弁当はオレが食べまーす」
小春の気持ちも場の空気も察する事の出来る大志が、和ませようと小春の弁当をガッついた。
そんな大志を、柔らかい表情で小春が見ていて。
オレは今まで自分にそこまで不満がなかった。
でも、小春が『繭だったら』って妄想するみたいに
大志が『オレだったら』って想像するみたいに
オレも『大志になりたい』と思った。
そしたらもっと、小春と分かりあえて、オレにもあんな笑顔を向けてくれるだろうに。