地上182センチメートルを、キミと。
--------進路指導室の扉を開けると、小春が大学の資料を見ながら順番を待っていた。
ヨカッタ。 間に合った。
「・・・・・・・・香川くん、どうしたの??」
オレの方を見る小春の手には、福祉大学の資料が持たれていた。
それを小春から奪い取る。
「・・・・・・・・大志に全部聞いた。 小春のやりたい事は福祉じゃないよね?? 保育だよね?? 小春が行かなきゃいけない大学は福祉大学じゃないよね??」
「・・・・・・・・大志くんに全部聞いたなら分かるよね?? ワタシは保育士さんにはなれない」
小春が顔を歪めながら、オレがさっき奪った資料に手を伸ばしてきた。
オレは小春より身長は低いけど、力はオレの方が断然上だ。
いくら小春が資料を引っぱったところで、絶対に渡さない。
「オレにはサッパリ分からない。 なりたいモンにはなるべきだと思う」
「・・・・・・・・誰かが嫌がるのを分かってて、それでもなりたいものにはなるべきだって言える??」
『コドモが高所恐怖症になる』身長を気にしている小春が、きっと1番聞きたくなくて、1番傷ついた言葉。