地上182センチメートルを、キミと。
「・・・・・・・小春、『巨人』を言い訳にして逃げてばっかだな。 イイ加減そーゆーの辞めれば??」
香川くんが、面白くなさそうな顔をワタシに向けた。
・・・・・・・面白くないのはこっちの方だ。
・・・・・・・やっぱり、香川くんにはワタシの気持ちは分からない。
カッコ良くて、モテモテな人生を送っている人に、分かるワケがない。
-------------腹が立った。
「・・・・・・・じゃあ『巨人』の言い訳以外の使い道って何?? ワタシがこんな言い訳欲しかったと思う??」
苛立ちをそのままぶつけた。
『巨人』であるが為に努力が無駄になるどころか、笑い者にされる屈辱を知らないくせに。
それが、どんなに辛くて悲しいか、知りもしないくせに。
ワタシは勉強が出来る。
腹を立てて、これ以上この場の空気を悪くする様なバカではない。
次々口をついて出てきそうな怒りを、奥歯で噛み砕き、滲んで来ようとする涙を堪える。
巨人のくせに、泣けない。
巨人だから、泣かない。