出会い系ランニング
「よく見かけるけど、家この辺なの?」
「‥そう」
無表情なまま目も合わせずタバコを吸う彼女。
笑ったらきっと可愛いのに。
「あのさ、付き合ってくれない?」
俺は唐突にすらっと口から出た言葉に自分でも驚いたけれど、彼女はもっとビックリして顔を上げた。
この時きっと初めてちゃんと目が合って、初めてちゃんと俺の顔を見た。
どう思っただろう。ナンパ?軽い?変態?好みじゃない?
「あ、彼氏いるんだった?俺、気が焦っちゃってゴメンね。前から可愛いなって思ってたんだ」
俺は言い訳のように次々と自分のフォローをした。
「‥別にいいよ」
「えっ」
「彼氏いないし」
「‥本当?やったっ!」
思わずガッツポーズをしたら、余計テンション上がっちゃって。
飛び上がってしまいそうだった。
こんなに嬉しかったのは大学合格した時以来だ。
世界中に叫びたいほど嬉しい!
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