出会い系ランニング
通りを挟んで左右に建ち並ぶ十数棟の同じ造りの家に、諦めて踵を返しかけた時、目の前の家の中から不機嫌そうな男の声がした。
「どこ行ってたんだ」
「コンビニ」
答えたのが笑美の声だった!
同時に、ガサガサと何かの音。
「お前タバコ盗っただろ」
「知らない」
「嘘ばっかりつきやがって!」
ドンっ!と大きな音がして、ただでさえ後ろめたい俺はビクッとしてしまった。
な、なんだろう。どこかを叩いた音?
一瞬の静寂の後で、またガサガサと音がして、わざとたてているような大きい足音が近付いて来て、俺は慌ててとっさに隣の家の物陰に隠れた。
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