出会い系ランニング
初めて連れて行った家でも、リッキーがいい仕事して、シッポが千切れそうに振って彼女を歓迎してくれた。
小さな体で精一杯エミの脚に前足を伸ばして抱っこしてアピールする。
「抱っこしてみる?」
「うん」
リッキーを持ち上げて彼女に抱かせると、リッキーは喜んでエミの頬をペロペロ舐めて、ちゃっかり唇をかすめていた。
なんて羨まし‥いやいや、犬に妬いても仕方ない。
エミはリッキーの余りのテンションに涙が出るほど笑って
「今度リッキーを描きたい」
って言い出した。これはいい。
「ぜひ描いて。犬にも表情あるんだよ。今は超嬉しい顔」
「うん」
笑ってるエミは可愛い。
「おやつあげてみる?」
「うん」
ホネの形の小さな犬用ビスケットの袋を出すと、リッキーは嬉しすぎてクルっと横に1回転してお座りして舌舐めずりした。
「リッキーおまわりとお座りが出来るんだけど、やればもらえると思って先にしちゃうんだよ」
「あははっ、偉いね」
エミがビスケットをあげるとリッキーはあっという間に食べて、またクルっと回ってお座りした。
「もっと欲しいって言ってる」
エミと笑い合って、リッキーがおやつでお腹いっぱいになった頃にお母さんが帰って来た。
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