出会い系ランニング
俺の部屋で彼女と二人きりだなんて、夢にまで見た状況だ。
智とだったら何でもないのに今は沈黙に耐えられなくて、ソワソワしてしまう。
「良かったら飲んでね」
自分もジュースに手を伸ばして飲むと、ゴキュゴキュッと喉が大きく鳴ってしまって、なんだか恥ずかしかった。
エミはほんの一口飲んだだけで、俺の机の上の本棚を何気なしに見ている。
大学の本や辞書や捨てられなくて復習の為にという名目で取っておいて全然開いてない高校の教科書、これまた全然開いてないけれど苦手な英語の教科書は中学の時のまである。
それよりも大量に少年誌や青年誌の漫画があるけれど、エミが手を伸ばして取ったのは中3の英語の教科書だった。
開いてパラパラめくって見ている。
「俺英語苦手で‥エミは英語得意?」
「普通」
普通って平均点くらいって事かな‥?なんだかよく分からない答えだったけれど、エミがすぐに教科書を元に戻したので突っ込んで聞かなかった。
< 47 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop