出会い系ランニング
智は下がってもいないメガネの真ん中をクセで上げ直すと、タバコに火をつけて、ヤニで黄色っぽくなってる智の部屋の天井に向かって、フーッと煙を吐き出した。
「どこで会ったの?今度はどんな子?」
智は、自分はこの手の話を全くして来ないくせに、俺の話を聞くのは好きらしい。
思った通り食いついて来て、俺はがぜん勢い付いた。
「走ってる時に時々見かける子なんだけど、雰囲気がちょっと変わっててさ、最初は髪が長くて顔わかんなくて貞子だと思ったんだけど、最近髪切ったら凄い綺麗系の可愛い顔してたんだよね。」
「なんだそれ。いくつくらいの子?」
「ん〜、高校生くらいかなぁ。あ、でもタバコ吸ってた」
自分も高校生の頃から吸っている智は、冷めた表情でタバコを吸っては天井に向かって煙を吐き出す。
俺自身は吸わないけれど、智で慣れてしまったせいか、タバコの臭いは嫌いじゃない。
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