ヴァージン=ロード
「ちなみにカメラマンは、葉山カノンさんだよ」
「お受けします!」
翠さんの言葉に、迷っていた心が吹っ飛んで、私は即答していた。
私の後ろで、良とレアと栞がリキを見たのが分かった。そう、葉山カノンさんとは私のお気に入りのカメラマンであり、リキの最愛の奥様なのだ。
カノンさんの名前に即答した私の勢いに、白木さんは面食らったようだ。
「いやあ、ISAKIのカノンさん愛は相変わらずだね」
翠さんが苦笑して、白木さんに向き直った。
「それじゃあ、これで契約は成立です。今後ともよろしくお願いします」
「はい。ありがとうございます。ISAKIさん、よろしくお願いします。その資料はお渡ししますので、お好きなようになさってください」
「あ、はい。よろしくお願いします」
白木さんが右手を差し出したので、私はその手を握り返した。
「じゃあ、スケジュールの調整はまた今度連絡するから。ご飯行っといで。お疲れ様」
「お疲れ様でした」
私は一礼して、リキ達のもとに向かった。
「大抜擢じゃない、ISAKI」
栞が面白そうに言った。それよりも、私はリキに詰め寄った。
「ちょっと、リキ、カノンさんが絡んでるって、なんで教えてくれなかったの!」
「おうおう、ちょっと落ち着けって。せっかくの可愛い顔が台無しだぞ。サプライズってやつだよ」
リキが笑って、私をなだめた。
「とりあえず着替えましょうよ。さすがに肩凝ってきちゃったわ」
レアが優雅に言う。確かに私も鎧が重たくなってきた。
「そうだねー、早くご飯食べに行こう!」
私達はそれぞれ控室に戻った。