ヴァージン=ロード



 着替え終わってスタジオのロビーで待っていると、ぞろぞろとみんな集まってきた。リキはニットの帽子をかぶって、目立つ髪の毛を隠している。

「何食べるー?」
「個室があるところがいいな」

 栞と良が先導して、スマホをのぞきながら店を探してくれている。私はリキとレアと並んで歩いている。

「あー、でもカノンさんの撮影、本当に嬉しいーっ」
「本当にISAKIはカノンが好きねぇ」
「だってだって、カノンさんは最高の一瞬を撮る天才だもの。もちろん、河島さんも素敵なカメラマンよ」

 私はレアに言う。一部の人しか知らないことだが、実はレアと河島さんは良い仲なのだ。そしてリキとレアも姉弟のように仲がいい。本人達に言うと怒られるけど。

「ふふ、リキ、子供達は元気なの?」
「ああ、リノもアリスも元気だ。リノなんか、誰に似たのか三歳児には見えねぇけど」
「そんなの、あんたに似たに決まってるじゃない」

 にべもなく言い放つレアに、私は笑った。すると、栞が私達を振り返った。

「ねぇ、近くにイタリアンで個室で食べられるところがあるんだって」
「んじゃ、そこで。ありがとう」

 私達は近くのイタリアンレストランに向かった。お洒落なレストランで、個室に五人入っても広々としていた。

「いいとこじゃない」
「ね!」

 各々好きに座って、メニューを眺める。そして注文をした後、一息ついた。
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