ヴァージン=ロード
「ねえ、怜愛、河島さんと結婚しないの?」
飲み物がそろって乾杯した後、栞が身を乗り出してレアに訊ねた。どこかで見たことのある光景だと思ったら、いつぞやの夢乃だ。
「ちょっと、シオってば。私達は結婚はしないの」
「えー、なんで? もう夫婦みたいなものじゃないの」
栞が意味が分からないと言った顔をする。そんな話をしている間に、料理が運ばれてくる。レアは素知らぬ顔でサラダを取り分けている。
「だってさ、ISAKIみたいに相手がいないならわかるわよ?」
「私のことはいいじゃない」
私は口を尖らせる。栞ってば、こういうところまで夢乃に似てる。レアは首を横にふった。
「結婚ってね、いろいろあるのよ。英輝と私は、全部わかってる。愛し合って一緒にいる。それでいいの」
穏やかな笑顔で言うレアに、良が頷いた。
「そうだよなー、結婚っていろいろあるよな」
「リョウには似合わねぇな、その言葉」
「うっせーよ、リキ。お前に言われたかねぇ」
良に突っかかられ、リキは笑って肩をすくめた。
「本当よ、まさかあのリキが結婚するだなんて思ってなかったわよ。今じゃ二人の子持ちだなんて」
「ふん、うっせー。羨ましかったら自分も相手見つけてみろ」
リキが舌を出して栞を挑発する。栞は悔しそうに顔を歪めた。