ヴァージン=ロード

「僕は、人が生活する場所を作っているんだ。でも写真からはどうしても無機質なものしか伝わってこない。でも人と一緒に映ると、今度は人がメインになってしまうんだ」

 なるほど、白木さんの求めていることがわかってきた。

「でも、そこでよく見た目の印象の強いモデルを使おうと思いましたね」
「本職のモデルだからこそ、自分の魅せ方をコントロールできるんじゃないかと思いました。兄にも話を聞きましたしね」

 白木さんの一言に、翠さんが音を出さないように拍手をする仕草をした。

「白木さん、ISAKIはそのコントロールが本当に得意なモデルです。彼女の力、存分に使って下さい。じゃあ、ISAKI、ここはもう大丈夫そうだから任せるわね。しばらくしたら葉山さんももう少ししたら来ると思うから」
「はい、お疲れ様です」

 翠さんが次の仕事に向かった。二人きりになり、私の方は特に要望がなかったので白木さんの言葉を待つ形になる。
 すると白木さんがじっと私の目を見つめてきた。何事かと思い、私も見返す。
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