ヴァージン=ロード

「夢乃のパーティなら行く」
「そうやって選り好みしているから、駄目なんでしょうが。モデル仲間にはいないの? いい人」

 夢乃に言われ、カフェオレをすすりながら考えてみた。思い浮かぶのは、私の見目麗しい仕事仲間達。
 完全に私を女扱いしていない、そんな笑顔の可愛い男達。

「……仕事仲間、それかただの友達ね。私、女だと思われていないもの。一晩ホテルで過ごしても間違いを起こさない自信があるわ」

 私の言葉に、夢乃が唸るように低い声を出す。

「要らないわよ、そんな自信」
「そんなこと言ってもね……寄ってこないんだもん、男」

 別に求めていないわけでもないのに、全く男ができず。たまに寂しいし、慰められたいときもある。
 でも、相手がいないんだから、仕方がない。

 私は盛大にため息をついた。

「あーあ、どっかに転がってないかな、いい男」

 羽宮伊咲、二十六歳。四捨五入したら、三十歳。
 そろそろ、焦りを覚え始める、そんなお年頃。


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