ヴァージン=ロード
「ここですよ」
「へえ、こんなところにこんなお店があったんだ」
白いレンガの外壁にツタが生い茂っており、赤い屋根に丸い窓の外装の、可愛らしいお店だった。
「ここビーフシチューがおいしいんですよ」
「可愛いお店」
私達は窓際のテーブルに着いた。メニューを見れば、手書きのメニューで写真も貼ってあった。どれもおいしそうで目移りしてしまう。
「ビーフシチューがお勧めなんですか?」
「そうだけど、でもどれもおいしいから、好きなもの頼んでください。僕はビーフシチューにするけど」
私はメニューをめくりながら、ふと目に入った煮込みハンバーグに目を奪われる。
「私はこれにします」
「じゃあ、すみませーん」
宗広さんが店員を呼び、それぞれオーダーしてくれた。その際、オーダーを取ってくれた女性の店員さんが意味ありげに宗広さんと私を見た。
「白木さん、女性と一緒だなんて珍しいですね。ごゆっくり」
そう言って厨房に戻る店員さんに、宗広さんが赤くなった。
「あー、もう、恥ずかしいなぁ。ごめんなさい、伊咲さん、ちょっと誤解されてしまったみたいだ」
「いえいえ」
私は気にしていなかったので、笑顔で首を振った。