ヴァージン=ロード
「常連さんなんですね」
「結構昔から通ってるんです。店員さんとも顔見知りで……」
「良いですね、そういう関係」
その後、あまり待たされることなく料理が出てきた。いい香りが漂ってきて、胃袋を刺激する。
「わあ、いただきます」
猫舌な私は、スプーンですくった料理に息を吹きかけ覚ましながら食べる。その瞬間、口の中で広がったジューシーさとデミグラスソースのまろやかな味に思わずうなった。
「美味しい!」
私は満面の笑みを浮かべてスプーンをすすめる。その様子を見ていた宗広さんは感心したように感想を漏らした。
「美味しそうに食べてくれてうれしいよ。モデルさんだから、食事制限とかあるのかと思っていたよ」
「そんなことは気にしません。美味しいものはたらふく食べる主義なんです。食べたら運動すればいいんですよ」
モデルとして体型維持はずっと付き合わなければならない課題といっても過言ではない。私も、自分のベストを一番表現できる体型を維持するのにジムに通っている。
「それ、格好いいですね」
「ふふ、そうですか」
しばらく他愛もない話をした後、ふと気になった私は宗広さんに訊ねる。
「宗広さんって、デザインするときってどのようにしているんですか?」
「え」
「宗広さんがデザインしたお部屋はどれも素敵だったんです。どんな風に作っているのか気になって」
私の言葉に、宗広さんは少し考え込む。