ヴァージン=ロード

「そんなことは百も承知ですよ、白木さん。でも、貴方は何のためにISAKIを採用しようと思われたんですか?」
「それは、僕の作品をさらに引き立てるために……」
「それならISAKIは100%じゃなきゃ意味がない。貴方の作品を引き立てるためのISAKIを、私は作りあげるんです」

 夢乃は私をよく知っている。
 羽宮伊咲を初めてISAKIにしたのは夢乃だ。

 理解者がいるということが、私、羽宮伊咲とISAKIを強くしている。

「……大変失礼しました」

 自分の失言に気付き、素直に頭を下げた宗広さんに夢乃が微笑む。

「ここに集まっているのは、貴方の作品集を最高のものにしたい同志なんです。デザイナーである私は、自分の作品に対して愛情を持っています。だからこそ、貴方がご自分の作品に対してどのような気持ちを抱いているかは理解しているつもりです。一緒に、最高の物を作りましょう」
「ありがとうございます」

 夢乃が右手を差し出し、宗広さんがそれをとって、固い握手を交わした。そこに、拍手の音が響く。カノンさんだ。

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