ヴァージン=ロード
「凄い、凄いよ、ISAKIさん!」
「あ、ちょっ……」
夢乃の制止の声が聞こえたけど、それにかまわず宗広さんが私の手を取った。
「想像以上だ。ISAKIさんを選んで、間違いなかった……!」
興奮冷めやらぬ様子の宗広さんに、私はなんとか頷いた。
「あー、駄目駄目、白木さん。伊咲は撮影に入りこんじゃうとしばらく帰ってこないから」
「え」
夢乃が宗広さんを下がらせるけど、私の手が夢乃の手を掴んだ。
「あれ、帰ってきたの?」
「宗広さん」
「はい」
私は、未だぼんやりする頭で、ただ顔には笑みを浮かべて、言葉を紡いだ。
「良いもの、作りましょうね」
「はい!」
最初の撮影が、私達のまいた種が初めて弾けた瞬間だった。
「伊咲さん!」
一日目の撮影で、3か所回った。撮影が終わって帰ろうと思ったところに、宗広さんが興奮冷めやらぬ様子で近づいてきた。カノンさんと夢乃は、子供達が待っているということで一足先に帰っている。
メイクも落として着替えた私はすっかりオフモードになっていた。
「僕は、モデルISAKIとしての貴女の実力を見誤っていました」
そう、宗広さんが真剣な顔で告げる。何のことを言われているのかわからず、私は反応に困った。