ヴァージン=ロード
「FlowerGardenにこの仕事を頼んだ時見せてもらったのは、去年のFlowerGardenコレクションと、先日の今年のFlowerGardenコレクションの撮影だったんです。そこであなたは輝いていた」
それはそうだ。
あの撮影での私の役割は、自分自身を魅せることだったのだから。
「だからいくら花園さんや葉山さん達が、僕の作品を魅せるのに適役だと言っても、なかなか信じられなかったんです。今日、葉山さんの撮られた写真を見せてもらって、唖然としました。こんなにも、雰囲気を変えられる人がいると思っていなかった」
一瞬、宗広さんが言葉に詰まったものの、そのまま言いたかったであろう言葉を続けた。
「貴女はプロのモデルだ」
僕みたいな何も知らない奴に言う資格なんかないとは思うんだけど、と宗広さんが続けるけど、私はその言葉が嬉しくて目を細めた。
「良かった」
「え」
「だって、今日私ずっと緊張していたんですよ。うまく引き立てられるかわからなくて。でも、やっぱりカノンさんの腕は確かですね。それだけ宗広さんが感動してくださるということは、私は力になれたということですね。これからも、この調子で頑張ります」
宗広さんは、驚いたように私を見て――困ったように頭を掻いた。
「参ったな……」
「え?」
「いや、なんでもないです。あの、良かったらこれから食事でも?」
断る理由もなかったので、私達はまた食事に行くこととなった。