ヴァージン=ロード
日帰りで行ける最後の場所の撮影が終わったときだった。残りがラヴィンユの撮影のみとなり、夢乃がスケジュール帳と睨めっこしていた。
「で、いつにするの?」
「早く終わらせたいわよね……直近だと、3、4日がちょうど空いているわ」
私も自分のスケジュールを確認して言う。夢乃も頷いた。
「その日なら、私も大丈夫。白木さんは?」
「僕は大丈夫です」
すると、カノンさんが困ったような顔をしたのに、宗広さんが気付く。
「葉山さんは、予定が合わなそうですか?」
「その週は撮影の予定は入っていないんだけど、ちょっと両親が旅行に行くから子供と一緒に過ごそうと思っていたの」
カノンさんの言葉に、宗広さんが微笑んだ。
「お子さんも連れていらしたらどうですか? あそこなら子供の遊び場もあるし」
「それが良いんじゃないですか? それだったらうちの子も連れてくわ」
「え……でも……夫に確認してみます」
宗広さんと夢乃の言葉に、カノンさんが電話をかけにその場を去った。私は夢乃の言葉を思い出し、微笑んだ。
「ののちゃんが来るのなら、凄く久しぶりね。もう大きくなったんじゃない?」
「ののももう3歳よ。ここのところうーんとおませになっちゃって」
自分の娘のことを語る夢乃は嬉しそうだ。夢乃の一人娘・前原ののちゃんは今年3歳になる夢乃そっくりな女の子だ。
実は子供が大好きな私は、ののちゃんが生まれたころしょっちゅう夢乃の家に行って、オムツ替えやミルクやりを手伝ったものだ。