ヴァージン=ロード

 ぱんっ

「伊咲さんっ?」

 勢いよく頬を叩いた私に、宗広さんは驚いて声を上げた。そんな彼に私は向き直る。

「宗広さん、ありがとうございます。お蔭で、少しだけ心の整理ができました」

 私は、神坂さんの気持ちや宗広さんの気持ちを魅せればいいんだ。自分は結婚に対して怖いという気持ちがあるけれど、それだけじゃない。

 私の両親は運命の相手なんかじゃなかった。だから、幸せになれなかった。
 このラヴィンユは、運命の相手と結ばれる場所なんだって、そう考えたい。
 そう、信じたい。

「少しでも力になれたようなら、嬉しいです。さ、伊咲さん、みなさんのところに行きませんか? きっと子供達も遊び疲れてますよ」
「はい」

 宗広さんに連れられて、私はプレイングルームへと向かった。プレイングルームではリキがアリスちゃんを抱っこしてあやしていて、リノ君とののちゃんがおしゃべりしているのをカノンさんと夢乃が眺めていた。
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