ヴァージン=ロード

「あ、いさきちゃん!」

 ののちゃんが私に気付いて、駆け寄ってきた。私はののちゃんを抱きとめる。一緒に歩きながら元の場所に戻ると、ののちゃんはきらきらした瞳で私を見上げる。

「いさきちゃん、あのね、わたし、りのくんのおよめさんになる!」
「ええ?」

 私は思わずリノ君を見た。ののちゃんがリノ君の隣に行って、可愛らしく顔を覗き込んだ。

「ねっ、りのくん!」
「しかたないなぁ」

 リノ君は涼しい顔で、隣のののちゃんを見た。

「ののちゃんが、おおきくなっても、ぼくのことをすきでいられたら、およめさんにしてあげる」
「うんっ」

 リノ君の言葉に、私は真っ赤になった。見れば涼しい顔をしているのは男性陣くらいで、カノンさんも夢乃も顔が赤い。

「リノってば……変なところばっかり父親似なんだから」

 カノンさんがリキを睨むけど、リキは涼しい顔をしている。嬉しそうなののちゃんと、すまし顔のリノ君を見て、私は微笑んだ。

「羨ましいな……」
「羨ましいって……意外ですね」

 宗広さんが驚いたように私を見るものだから、私はちょっと目を細めて宗広さんを見る。
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