ヴァージン=ロード

「私だって、憧れてるんですよ。幸せには」

 結婚は怖いし、嫌な感情しかないし、したいとも思わない。
 だけど少しは羨ましいと思うし、幸せになりたいって思ってる。

 私も運命の相手に出逢えたらいい、そう、思ってる。

「男の人にあんな風に言われたら、誰だってどきっとしちゃいますよ」
「そう、なんですね」

 その時、ぽんっと私の肩をたたく人がいた。振り向けばカノンさんだ。

「良い顔になったわね。もう、大丈夫そうね」
「はい、本当にご迷惑おかけしました」
「じゃあ、明日は朝一から頑張りましょうね」
「はい!」


 私の中のマイナスの感情が消えたわけじゃない。
 だけど、私の中にある憧れという希望を自覚できた。


 そうやって、BCプロジェクトの撮影は終わった。


< 77 / 139 >

この作品をシェア

pagetop