ヴァージン=ロード
「ふふ、やっぱり仲良し。さあー、良ちゃん、お仕事していらっしゃい」
「はいよ」
「あとISAKI、お客様よ」
コータさんが指さす先を見ると、宗広さんがいた。私は驚いて、そちらに向かう。
「いったいどうされたんです?」
「いや……これを見てもらおうと思ってきたんですけど」
宗広さんが茶封筒を差し出してきた。受け取って中を確認すれば、BCの撮影の写真だった。
「葉山さんが選んだものです。伊咲さんにも見てもらいたいと思って……でも、お邪魔だったみたいですね」
「え?」
宗広さんの言葉の意味が分からず、私は彼を見た。彼はどこか硬い表情をしている。
「帰ります」
「えっ、ちょ、宗広さん?」
宗広さんは私の手から茶封筒を受け取ると、そのまま帰ってしまった。
訳が分からず呆然としている私に、コータさんが声をかけてきた。
「なあに、あれ?」
「さあ……」
全く意味が分からない。
隣で、コータさんが意味ありげな視線を向けてきた。
「ふーん、そういうこと?」
「え、どういうこと?」
「うふふふー、ないしょー。男ってわかりやすいわねー」
コータさんも意味不明なことを言って、私の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになった。
「ね、コータさんどういうこと?」
「今にわかるわよー」
釈然としなかったものの、コータさんが教えてくれる気配がなかったので、私は諦めて帰宅することにした。