ヴァージン=ロード
第一声は、謝罪の言葉だった。
「先日は、ごめん」
「……えっと」
マンションまで車で迎えに来てくれた宗広さんは、車から降りて私を見るなり頭を下げた。
「この前は、伊咲さんが他の男の人と楽しそうに話しているのを見て、年甲斐もなく嫉妬してしまって……」
その言葉に初めて、私は宗広さんに異性として意識されているのだと自覚した。途端に、少し気恥ずかしくなる。
「あの、すみません、もしかして……宗広さん、私のこと女としてみてます……?」
「えっ」
思いもよらない質問だったのか、宗広さんは目を白黒させている。そんな彼が可愛くて、申し訳ないけど笑ってしまう。
「もちろん、伊咲さんは素敵な女性だと思っていますよ」
「またまた、いろんな人に言ってるんでしょ」
照れ隠しに軽口をたたきながら、私は宗広さんに促されて助手席に座った。
「今日の恰好も、素敵です」
運転席についた宗広さんが、こちらも見ないでぽそりと言った。照れているというのがわかってしまい、私は微笑む。
「ありがとうございます。宗広さんも格好いいですよ」
「そうかな。ありがとう」
やっぱり、宗広さんといると変に気負わなくて済む。