ヴァージン=ロード
「ISAKI!」
「はい!」
私はブーケを持って、花の髪飾りを付けて、純白の花嫁となってランウェイを進んだ。
降り注がれる聴衆の目、貫かんばかりのライト、血が沸騰するかと思った。
背筋を伸ばして、ウォーキングする。その間、聴衆への笑顔を忘れない。決められた位置につけばポーズを決め、ターンする。
みんなの歓声が聞こえる。
楽しいと、最高だと、心が躍る。
バックステージに戻った瞬間、スタッフが私を取り囲む。私も歩きながら凄い勢いで衣装替えをする。歩きながらの私を化粧直しする彼らは凄い。
そうやって怒涛の時間を過ごして、フィナーレだ。
デザイナーが誰がどの衣装で、どの順で出るかを次々に指示をしていた。
私は胸元が大きく開いた白薔薇モチーフのドレスを身に纏い、トリを任された。パートナーは、なんと良だ。
髪をなでつけ、白いタキシードを身に纏っている。その胸元には薔薇モチーフのハンカチが差し込まれていた。
「良、イケメンだよ」
「お前も似合ってる」
私達は笑い合って、良の腕をとった。
そして、ステージに躍り出た。