RealGameー恐怖は終わらないー
キュッと拳を握りしめて立ちあがり、痛む足を少し引きずるようにして歩いて行く。


時々見える非常口の明かりを無視し、ゴウゴウと激しさを増す風の中、あたしは助けるべきおばあさんを探した。


この迷路の、どこかにいるはずだ。


雨で体温はどんどん奪われていく。


6月といえど、これだけ濡れればさすがに寒くて、あたしは軽く身震いをした。


「和花、大丈夫だからね……」


そう呟き、前を睨みつけるようにして歩いた。
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