RealGameー恐怖は終わらないー
すると、老婆は無言のままこちらへ顔をあげた。


その瞬間、あたしは息を飲んだ。


老婆の両目は灰色に濁っていて、見えていないのだと一瞬にして理解できたから。


こんな障害のある人が、1人で巨大迷路なんて入るハズがない。


思えば、あたしがゲームをしているせいで火事にならなくていい家が火事になり、迷子にならなくていい老婆が迷子になっているのではないか。


そんな予感が胸をよぎり、同時に心が痛みで悲鳴をあげた。


「……あたしの手につかまってください。一緒に出口を探しましょう」
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