雪どけの花
閉ざされたドア
僕は飛び起きた。
はぁ…はぁ…。
まるで現場に居合わせたみたいに、びっしょりと汗をかいている。
「狭間くん…大丈夫?」
「…?」
声のする方を見ると、ベッドの脇で校医の結城先生が心配そうに僕の顔を覗き込んでいる。
夢……………。
そうか、あれは夢だったんだ。
良かった。
「あ、大丈、夫です…」
答えようとしたが喉がカラカラで、上手く声がでない。
「随分とうなされてたみたいだけど、嫌な夢でも見た?」
「………」
その問いに僕は答えなかった。
いや、答えたくなかった。
あまりにも嫌な夢だったから。
雰囲気を察したのか、それ以上先生も聞いてこない。
「あ、そう言えば狭間くんのカバン、ここに預かってるから。午後の受けられなかった授業分のプリントも入れてあるそうよ」
「すみません」
壁の時計は夕刻5時半を指している。
「うわっ、もうこんな時間…!?」
寝不足になる程夜更かしをしているつもりはないのだが。
我ながらの爆睡ぶりに呆れてしまう。
「1人で帰れる?」
「はい」
「じゃあ、帰る前に担当の吉沢先生に一言、声を掛けて帰ってね。職員室にいらっしゃると思うから」
「分かりました。失礼します」
僕はカバンを手に、廊下に出た。
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